BUNKOUDOU

製作者を訪ねて

秋田県冬師のわら細工師

2011年8月の末に秋田県にかほ市冬師にわら細工を内職仕事にしている
人たちがいるというので伝を頼って仕事場におじゃました。

下の写真は「クゴ」という草。山の湿地に生えているそうです。
それを根ごと掘ってきて、休耕田に植え替え育てて、大きくなると
刈り取り、写真のように干して、保存し、細工に使うのだそうです。


こちらは、注文を受けて作った「わらじ」です。
まるで機械で作られたように規格が揃っていて見事です。
全国のお土産やさんとか専門業者などから100〜1000単位で
受注するそうです。たくさん作るのに手は抜かず、仕事は丁寧でした。
  
こちらは「くご」で作られた「みの」
大人が着ることが出来る本物サイズでした。


こちらは初めて見て感激(?)した「わら打ち機」です。
ここを通ったわらは細工しやすい柔らかな物になります。
天井に据え付けたものにベルトを回してあります。
秋田の米どころでも、「わら」は知り合いの農家に頼み、買っているそうです。
一抱え¥50〜¥100位だそうですが、はかまを取って鋤くと、ほんの少しに
なってしまうそうです。事情は私達と変わりません。


 

 こちらは「シナ」と言う木の皮だそうです。
こちらも「黒色」に染めたりして、細工に使うのだそうです。
若い人に技術を教えたいが、こういった材料を準備することから始めないと出来ないので
やりたがらないそうです。

こちらの写真は「わらじ」作成中の写真です。
爪先部分から作り始めます。丈夫にする為か芯縄にわら2.3本を添えています。
わらの穂先部分をつき合わせて中心に添えます。
右脇に置いた風呂敷にくるんだわらを取り出して
作業をしています。わらは濡れていません。風呂敷に包んであるのでわらもごちゃごちゃに
ならずに良い方法だと思いました。
腰に回した紐と作っているわらじの芯縄を結びつけて
作業をしています。曲がらずに作れるのだそうです。熟練さんのアイデアです。
「わら」を漉くときの道具です。

訪問してお会いした方は「ケラ」を上手く作って
コンクールで賞状をいただいたそうで、見せてくれました。
こちらは「縄綯い」競技の大会に出て所定の時間に
きれいに長い縄を綯われたので受けた賞状だそうです。素晴らしい技術です。
こちらは飾りとして作った「ケラ」=「みの」。
玄関の広い三和土の壁に飾ってありました。見事な出来栄えでした。
さすがコンクールで表彰される技術の持ち主です。

おじゃまして、作業の様子を拝見しただけですが勉強になりました。
教えてもらいたいと思っていましたが、10年早い段階でした。
私が「わら」でやっている程度のことは子どもの遊びみたいなもの
せめて作る時は、自分なりに一生懸命取り組む、丁寧な仕事をすることを
心がけたいと思いました。


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新潟県糸魚川市にあるわら細工の会社「はしだて」を
2012年6月25日に訪ねました。
伺うとお客様に出荷のための俵を製作中

こちらでは、わらを丁寧に部分で分け
何やら製作中。

これは会社の隅に置いてあった縄綯い機

社長さんは趣味でやっている程度の私達にも同好の士のように気さくに接して
くださり、ちょっとした作り方や本などを見せてくださり話が弾みました。
秘蔵のわら細工も見せてもらいました。素晴らしい作品郡でした。